U18ベースボールワールドカップ
日本が初の金メダル獲得なるかと盛り上がったU18ベースボールワールドカップ。
夏の甲子園も終わって日も浅かったので盛り上がるかと思いきや、決勝戦のみ盛り上がった感の強い大会でした。
とはいえ、注目選手が多数出場とあって日本代表の試合が開催される舞洲球場には、侍ジャパンを応援しようと多数のファンが詰めかけた。
そんな中、私は知合いにチェコの1部リーグ(エクストラリーガ)でプレーする日本人選手がいる事もあってチェコ野球に興味があり、今大会はチェコ代表に注目して観戦する事にした。
事前にチーム状況を調べるものの、チェコチームの評価はかなり低かった。
とはいえそれは2年前の話であり今回はどうかと更に気になり、くわえて球場が近所だったこともあり足しげく通う事となった。
●チェコ代表チーム成績
【1次ラウンド】
8/28 豊中ローズ球場
アメリカvsチェコ
CZE 0000010 |1
USA 5200103x|11
(7回コールド)
初戦で緊張したか、内野守備の連携が甘くエラーがらみで大量失点。
しかしメジャードラ1候補のバーグナー投手から1点をもぎ取ったのは注目出来る。
特にクルップ選手はバーグナーの投球に上手く合わせて2安打。
8/29 南港中央球場
メキシコvsチェコ
CZE 000100300|4
MEX 00500021x|8
一時は1点差に追いついたものの、直後にエラーでヒメネスに出塁を許すと、ビジャフランカに2ランホームランを打たれ再び引き離され、その後さらに追加点を奪われた。
先発のサトリア投手は好投したものの、エラーがらみの5失点が大きく響いた。
8/30 豊中ローズ球場
ブラジルvsチェコ
CZE 003012300 |9
BRA 02210140x |10
両チーム合わせて27安打の打撃戦で、まれに見るシーソーゲームの展開で観客を興奮させた熱戦。
繋がらなかった打線もこの日は繋がり、注目のクルップも4安打と好調。
8/31 舞洲球場
チェコvs日本
JPN 5003421|15
CZE 0000000 |0
(7回コールド)
日本の強力打線が16安打の猛攻。
攻撃でも序盤3回まで毎回出塁だったが、調子を取り戻した森下投手の前にヒットが打てずコールド負け。
9/1 豊中ローズ球場
チェコvsオーストラリア
AUS 03112102|10
CZE 00000000|0
(8回コールド)
ヒットは出るものの打線が続かず、投手陣も踏ん張りが利かずに失点が続き8回コールド。
1次ラウンドで5戦5敗でグループAでの最下位が決定し順位決定戦へ挑む。
グループA
日本 5勝0敗0分
米国 4勝1敗0分
豪州 3勝2敗0分
ブラジル 2勝3敗0分
メキシコ 1勝4敗0分
チェコ 0勝5敗0分
グループB
韓国 5勝0敗0分
キューバ 4勝1敗0分
カナダ 3勝2敗0分
台湾 2勝3敗0分
イタリア 1勝4敗0分
南アフリカ 0勝5敗0分
【順位決定戦】
9/3 南港中央球場
台湾vsチェコ
CZE 00000 0|0
TPE 0100x 1|1
(5回降雨コールド)
上位進出と思われた台湾との試合。
試合前から雲行きがあやしい中試合開始。
開始直後に雨が降り始め5回裏途中で雨が強くなり中断。
約一時間中断ののちゲームセット。
なかなかしまった投手戦だっただけに残念な一戦となった。
9/4 豊中ローズ球場
南アフリカvsチェコ
CZE 001010003 |5
RSA 000000020 |2
この日の先発のサトリア投手が絶好調。
打線も小刻みに得点しこのまま完封かという流れだったが、8回につかまり無念の交代。
うなだれ悔しそうにベンチに帰ったサトリア投手の気持ちが選手達に勢いをつけたか、9回表にチェコ打線が繋がり3得点。
待望の今大会初勝利となり、ベンチもファンも大盛り上がりだった。
9/5 豊中ローズ球場
イタリアvsチェコ
CZE 110001010|4
ITE 40020001x|7
前日の勝利の勢いそのままにといきたかったが、疲れが出たか初回にエラーで大量失点。
最後の試合という事もあってか、後半はほぼ毎回投手交代の総力戦。
徐々に追い上げるもイタリアが逃切った。
チェコ最終順位は11位
U18では日本の高校野球を見慣れると、チェコはやはりレベルはイマイチという感じも見られるものの、U21ではレベルが急激に高くなり、トップリーグ(エクストラリーガ)は更に高く、欧州代表にも選ばれる選手も出てきている。
関係者の話では、日本では高校野球でピークとなる選手が多いが、チェコには高校野球はなく20歳を過ぎてからピークを迎える選手が殆どだそうだ。
色んなチームに所属してはいるが、18歳以下では殆ど試合に出してもらえず、試合にはまだ不慣れな年齢層である。
今大会ではサトリア投手のようにトップリーグでも活躍している選手もいたが、この年齢でそんな選手は稀らしい。
しかも欧米の固いグラウンドに比べて日本は柔らかすぎるぐらい柔らかく、踏ん張りが利きにくく日本選手以外はかなり苦戦を強いられていた。
決勝の甲子園以外(舞洲、南港中央、豊中ローズ)の球場は特に柔らかいという情報もある。
南港中央での試合では、投手がマウンドの柔らかさにクレームをつけて数分中断する場面も見られた。
そんな不慣れなグラウンドで、初戦では6失策という状況だったが、その後は失策は1試合2〜3回までに減った。
2〜3回の失策でも多いような気もするが、上位チーム以外は大体そんなもんである。
失策数が強豪との差の大きな原因の1つであろう。
マイナー競技とはいえ、チェコ野球にも50年の歴史がある。
今年100年を迎えた日本の高校野球の半分の歴史ではあるが、今後に充分期待したいチームである。
●野球人気の復活はあるか?
オリンピックでも正式競技から外されるなど、たしかに欧州ではマイナーな競技ではある。
だが前回のWBCでのオランダの台頭もあり、欧州でも徐々にではあるが野球は注目されつつあるようだ。
2020の東京オリンピックに向けて、野球&ソフトボールの正式競技復活への動きをしていると、各メディアで時々聞くのだが…
その割に、今回のワールドカップは盛り上がりに欠けていた。
それは各球場にも見られた。
各球場の売店などを見ると…
【南港中央球場】
グッズ売場無し・自販機有り・売店有り(※注 ビール有り)
球場の売店のワールドカップ限定メニューがなかなかビールに合います。
その日の試合の各チームに合わせた限定メニューとなってました。
例)台湾戦…台湾風やきそば
イタリア戦…一口サイズのミニピザ
チェコ戦…チェコ風フランク
【舞洲球場】
グッズ売場有り・自販機有り・売店有り(※注 ビール無し)
売店と言っても仮設の売場で、しかもメニューはカップ麺のみという、世界大会とは思えない状況。
【豊中ローズ球場】
グッズ売場無し・自販機有り・売店無し
飲み物の自販機しかないので,近くの阪急曽根駅前のスーパーで買ってから行くことに…。
【甲子園球場】
グッズ売場有り・自販機無し・売店有り・ビール売り有り
内野席のみの開放で売店は多数開いているように思えたが、下段の売店のみ開店しており、上段の売店は全て閉店だった。
更に言うと大会のパンフレット。
1次ラウンドで売っていたのは日本代表のメンバー表(対戦相手のメンバー表のコピー付)のみで、しかも舞洲球場のみ。
公式パンフレットが販売されたのは1次ラウンドが終わってから。
(正式には雨天順延された9/2のカナダvs南アフリカの1次ラウンド最終戦の南港中央球場から)
お祭り感は南港中央球場の売店のみで、他の球場でも現地スタッフはやる気を見せていたものの、肝心の主催者のやる気がイマイチ見られなかった。
明らかな宣伝不足など、盛り上げようという動きがさっぱりだった。
主催側の考えが根本的に変わらないと、野球人気の低迷からの脱却は難しいだろう。